リング摩耗とは?
リング摩耗とは伸線ダイスの摩耗の一つで、その名の通り、リング状に摩耗する現象です。
伸線ダイスの穴を顕微鏡などで観察を行うと、リダクション部分の中でもベアリング部に近い部分に、輪っかの摩耗が発生する現象です。
これが発生するのは伸線加工において必然のことなので、発生するのが悪いわけではなく、むしろ正常な伸線ダイスの摩耗と言えます。
摩耗が発生しないに越したことはありませんが…
このリング摩耗自体は発生すること自体は正常なのですが、この摩耗状態が綺麗な輪っかではなく、歪(いびつ)だったり、片側だけ多く摩耗していたりした場合には、加工状態の確認が必要です。
なぜリング摩耗が起きる?
伸線ダイス内には大きく分けて四つのセクションがあり、伸線行うに連れてそれぞれ摩耗が進行しますが、その中でもリング摩耗はベアリング部手前の「アプローチ部」で発生します。

アプローチ部分は線が初めにダイスに触れる部分ですが、そのアプローチ部の中でも伸線中に最も負荷が掛かる部分が、リング摩耗として摩耗していきます。
リング摩耗でわかること
リング摩耗は伸線加工を行う場合には必ず発生するものですが、そのリング摩耗の発生状態を観察することで、ダイス寿命の延長を行う手掛かりになる場合があります。
偏摩耗(へんまもう)
理想的なリング摩耗は、同じ幅・大きさのリング摩耗が綺麗に輪状につく状態です。
もし摩耗の幅が左右で異なっていたり、綺麗な輪ではない場合には、入線角度がズレてしまっている可能性があります。
伸線加工のセオリーは「真っ直ぐ線を入れて、真っ直ぐ線を出す」ことですが、線がダイスに対して斜めに入っていたり、ダイスのセットを誤って斜めにセットされてしまっていると、片側だけ大きく摩耗してしまうことがあります。
そのようなリング摩耗が見られたら場合には、入線角度やダイスのセット状態を再確認することをおすすめします。
早いリング摩耗
リング摩耗は徐々に深くなっていくものですが、その摩耗が早い場合には注意が必要です。
減面率が高すぎたり、潤滑剤が引き込まれていないか合っていないために、摩耗の進行が早くなっている可能性があります。
パススケジュールの見直しや、潤滑剤の引き込み状態の確認、必要であれば潤滑剤の再選定をおすすめします。

リング摩耗 まとめ
リング摩耗は伸線ダイスが消耗していく中で、最も典型的に見られる摩耗形態です。
ダイスのアプローチ部が線材が通る際の摩擦・圧力を受けて少しずつ摩耗することで、環状の摩耗痕が形成されますが、そのリング摩耗を観察することで、ダイスの交換時期、加工条件の善し悪し、潤滑性などの状態を把握できます。
最近、伸線の調子が悪いなと思ったら、ダイス内部を顕微鏡などで観察して、リング摩耗の状態を確認してみてください。



