ダイヤモンドコーティングダイスとは?【伸線ダイス革命?】

ダイヤモンドコーティングダイスについての記事のサムネ画像
横長広告画像

ダイヤモンドコーティングの伸線ダイスはどのようなものかご存じでしょうか?

以前から切削工具などでは採用されていることを聞いたことがありましたが、最近は伸線加工で使用する伸線ダイスにも使用されるようになってきました。

伸線ダイスは伸線加工を行う中でも多く消費する消耗品であり、数多くダイス交換を行うということはそれだけの時間、伸線機を止めての交換作業が必要となるため、伸線ダイスの長寿命化というのは伸線加工を行っている企業の中では課題となっています。

この記事では伸線ダイスの摩耗の対策品となる、ダイヤモンドコーティングダイスについて紹介します。

目次

ダイヤモンドコーティングダイスとは?

ダイヤモンドコーティングダイスとは、超硬合金製ダイスの表面に微粒子のダイヤモンドを蒸着させたもので、超硬合金ダイスの内部(リダクション~バックリリーフ)に厚さ約30μmのダイヤモンドコーティングを施したものとなります。※リダクション=線材を絞る加工部、バックリリーフ=後方の逃がし部

ダイヤモンドコーティングが施されたダイヤ断面のイメージ図

切削加工用で使用されるドリルやエンドミルでは、難削材を加工するために以前から存在していたように思いますが、撚線用のダイスに使用されるようになり、同じような構造の伸線加工用のダイスにも最近になって使用されるようになってきました。

ダイヤモンドコーティングダイスの強み

元の素材は超硬合金ダイスなのですが、ダイヤモンドコーティングを施すことによって、圧倒的な長寿命化を行っています。

どんな加工条件(素材・潤滑剤減面率)で加工を行うかによっても大きく変化するかと思いますが、ある企業のカタログでは超硬合金ダイスの約10倍の寿命があると謳われています。

私も仕事で実際に、超硬合金ダイスを今まで使用していた部分に、ダイヤモンドコーティングダイスを導入してみましたが、とても長寿命であり、線肌は変わらず線径もほとんど太くならずに引き続ける事ができました。

具体的な数字は書けませんが、乾式伸線にて超硬合金ダイスの10倍を遥かに超える量を伸線してもほぼ摩耗しませんでした。

ダイヤダイスとの違い

伸線業界でも「ダイヤダイス」と呼ばれるものは以前からありましたが、ダイヤモンドコーティングダイスは既存のダイヤダイスと比べて何が違うのかを紹介します。

作り方が異なる

ダイヤダイスは焼結された人工ダイヤモンドをケースにはめ込み、穴をあけてダイス角などを付ける加工を行って削りだしていきますが、ダイヤモンドコーティングダイスの場合には、加工済みの超硬合金の表面にダイヤモンドのコーティングを行うという作り方になります。

ダイヤモンドコーティングは超硬合金ダイスの超硬部分に、薄い膜(約30μm)をコーティングすることにより作っていますが、各社様々なノウハウがあるようで、ダイヤモンドの粒度を変えたコーティングを何層かにわたってコーティングを行い耐久性を上げるなどを行っているようです。

精度を出すのが難しい

ダイヤモンドコーティングダイスは、ダイヤダイスよりも工法上の理由で精度を出すことが難しいとのことです。

理由としては、通常のダイヤダイスであれば規格通りの穴を空けて指定の角度まで切削・研磨を行うことができますが、ダイヤモンドコーティングの場合には加工済みの超硬合金部分にコーティングを何層か施す施工なので、コーティングの膜厚コントロールや、ムラなく均一なコーティングを施すことが重要となります。

この膜厚を精度よくコントロールするのが難しいようで、メーカーによっては仕上がり線径用のダイスには使わない方が良いとおすすめされたこともあります。

サイズアップができない

ダイヤモンドダイスの場合には、焼結ダイヤモンドに穴をあけて削りだして作っているため、再研磨でサイズアップする際には、焼結ダイヤモンドの大きさまでは再研磨することにより、少し大きい穴径のダイヤダイスとして使用できます。

しかし、ダイヤモンドコーティングダイスの場合には研磨するとコーティング部分を削ることになってしまうので、基本的に再研磨して再利用することができません。

毎回新品を買うことになりますが、とても長寿命なので、そこを加味してコスト計算を行うと安上がりになったりします。

ダイヤモンドコーティングダイスのメリット・デメリット

ダイヤモンドコーティングのメリット・デメリットをまとめてみました。

メリットデメリット
長寿命
既存のダイスと入れ替え可能
高価
サイズアップができない
長寿命

超硬合金ダイスと比較すると、加工条件にもよりますが10倍以上のダイス寿命を達成することも可能です。

既存のダイスと入れ替え可能

ダイヤモンドコーティングダイスのケースサイズは通常の伸線ダイスと同じなので、専用の道具や治具は必要なく、既存のダイスと入れ替えるだけで使用ができます。

高価

超硬合金ダイスと比較すると非常に高価な伸線ダイスとなります。(ダイヤダイスよりも高価な場合もある)

しかし、長寿命なので超硬合金ダイスを5枚使って伸線していた量を、1枚のダイヤモンドコーティングダイスで引けるようになるなどすると、超硬合金ダイスを使用していたときよりもランニングコストが安く済む場合があります。

サイズアップができない

先述しましたが研磨ができないため、超硬合金ダイスやダイヤダイスのように、新品のダイスをサイズアップして限界まで使い続けるということができず、毎回新品を購入する必要があります。

ダイヤモンドコーティングダイス まとめ

今回はダイヤモンドコーティングダイスについて紹介しました。

まだ国内の伸線業界内では普及し始めたくらいの新しい伸線ダイスですが、超硬合金ダイスと比べるとはるかに長寿命なので、これはさらに普及していくのではないかと思っています。

ただし、価格が高いため様々な線径を伸線する場合には、数多くのダイスを用意すると費用がかさむので、少量多品種を行っている場合には向かないと考えています。

大量生産で同じ製品を大量に伸線し続ける場合、特に超硬合金ダイスを使っているのであれば、ダイヤモンドコーティングダイスを使用すると、大きな効果が得られるのではないかと思います。

横長広告画像
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

伸線加工を行っている会社で品質管理を行っています。
プロフィールページへ

目次