伸線加工の矯正ローラーとは?

伸線加工に携わっていると「矯正ローラー」という言葉を聞くことがあります。

矯正ローラーは伸線加工に関わらず線材を扱う会社であれば、必ずと言って良いほど使用している機構になり、これを使いこなすことは現場作業として必要です。

この記事では、そんな矯正ローラーについて解説します。

目次

矯正ローラーとは

矯正(きょうせい)ローラーとは矯正という名前から想像ができる通り、輪径やひねりなどの線クセを矯正するために使用するローラーのことです。

曲がっている線クセを矯正して真っ直ぐにしたり、逆に真っ直ぐな線にクセをつけて、綺麗な円形にしたりなど自在に調整ができます。

ローラーは大きいものから小さいもの、個数も最小3つから10個以上付いているものまであり、線径や線の硬さに応じて最適な大きさのものを選定・使用します。

矯正ローラーの仕組みと使い方

矯正ローラーは線のクセを取るために、伸線加工では大切なものなのですが、その構造と使い方はシンプルです。

矯正ローラーの構造

ローラーが複数個ならんだものが1セットとなっており、そのうちの片側はローラーの固定部分がスライドするように動いて、ローラー間の幅を個別に調整できるようになっています。

多くの場合でローラーの数は奇数個であり、数の少ない側がスライドして動くようになっていて、ネジで押し込んでローラー間の幅を調整し、位置を固定することができるようになっています。

また、矯正ローラーによっては幅調整のネジの部分にマイクロメーターのような目盛りが付いたつまみがあり、ローラーを押し込んだ量をしっかりと数値化できるような構造になっているものもあります。

ローラー自体はベアリングの外側に線が通るための溝が彫られており、線径に応じて溝の深さやローラー自体の大きさを選びます。

メーカーのカタログに推奨線径が書いてあるので要チェックです。

矯正ローラーの使い方

使い方としては矯正ローラーの間に線を通して、ローラーの押し込み具合で線クセを調整します。

矯正ローラーのユニットは伸線機などの機械への線の供給部分か、加工最後の巻き取り機に取り付ける場合が多く、必要に応じて加工途中となる部分にもガイドとしての役割としても取り付けます。

機械への供給側に設置する場合には生地となる線に付いているクセを取って真っ直ぐにし、巻き取り機に付ける場合には容器に収まるように、また次工程で供給が安定的に行われるように適切な線クセを付ける目的があります。

矯正ローラーのユニット2つを90°ずらして配置することにより、輪径とひねりを矯正することができるのでそのような組み合わせになっている巻き取り機も多いです。

線をローラーの間に通すことで曲がった線を矯正して真っ直ぐにしたり、逆に真っ直ぐな線を曲げることもできます。

基本的な使い方としては真っ直ぐに矯正する場合には線が入ってくる側のローラーを強く押し当て、徐々に押し当てを弱くしていくようにセットする場合が多く、クセを付けたい場合にはどの方向にクセを付けたいのかによって変わるため、一概には言えず様子を見ながら調整する必要があります。

矯正ローラーまとめ

線クセを調整するために使用されている矯正ローラーについて紹介しました。

矯正ローラーは伸線加工を行っている機械には必ずついているため、伸線機や巻取機などを取り扱う作業の場合には、矯正ローラーを使用して線の矯正というのは必須の技能となり、矯正ローラーでしっかりとクセ取ができないと、次工程での供給時にトラブルの元となりますので品質項目の一つとして意識する必要があります。

同じセッティングの矯正ローラーでも、線の太さや線の硬さによってクセの付き方は変化するため、経験慣れが必要な機構でもあります。

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この記事を書いた人

伸線加工を行っている会社で品質管理を行っています。
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