伸線加工での線長・重さ・加工時間の求め方を紹介

伸線加工では減面率をはじめ、様々な計算を行うことがありますが、今回は製品の重量や長さの求め方について紹介します。

ここで紹介する計算式は異形線ではなく、断面形状が丸型の線に対応しているものとなりますので、異形線の場合には断面積の計算方法が異なるため対応していません。

目次

伸線加工の計算 重量の求め方

線径(mm)と長さ(m)がわかっているときの、製品重量(kg)の求め方です。

重さ(kg)=直径×直径×3.14÷4×長さ×7.85(鉄の比重)×0.001

今回の式では素材を「」と仮定しているため、鉄の比重である「7.85」を入れて計算を行っています。

金属によって比重は異なるため、もし銅であれば「8.96」、アルミであれば「2.71」、金であれば「19.32」を入れる事により、それぞれの重量を求める事が可能となります。

上記の比重は、混ざり物のない純粋な金属の場合です。

伸線加工の計算 長さの求め方

線径(mm)と重さ(kg)がわかっているときの、長さの求め方です。

長さ(m)=重さ÷(直径×直径×3.14÷4×7.85×0.001)

先ほどの製品重量を求める式よりも、こちらの長さを求める式の方が実際に使う機会が多い気がします。重さは重量計に載せればわかりますが、長さは実際に測ることができないので重宝するときがあります。

伸線ダイスは使っているうちに徐々に太っていくため、生産開始直後の引き始めと生産終了直前の引き終わりで線径の違いが発生し、実際には全長が一定の線径ではないため正確に長さを求めることは難しいです。そのため、その製品の呼び径を入れて計算し、長さは目安として計算を行うと良いでしょう。

φ5.0という線径で販売しているのであれば、直径はφ5.0として計算を行うということです。

こちらも使用している金属によって、鉄の比重である7.85の部分を変える必要があります。

伸線加工の計算 製品の上がる時間の求め方

伸線機にセットした製品が出来上がるまでにかかる時間の求め方です。

製品長さ(m)と線速(m/min)がわかれば、製品が狙った重量で上がってくる時間を計算することができます。逆に言えば、その時間で機械を停止することにより、狙った重量の製品を作ることが可能となります。

時間(min)= 長さ÷線速

先ほどまでの式と比べると簡単な式ですね。

距離と速度から移動時間を求めるのと同じです。

伸線機は常に一定速度ではなく、加工開始時や終了時に加減速がありますので、上記の式で計算した時間よりも少しオーバーして終了します。

そのため、目安の時間を計算する方法として思っておくと良いでしょう。

伸線加工の計算 まとめ

今回は伸線加工で使用する計算の中でも、製品の重量や長さについて紹介しました。

伸線業ではkg単価で売る「重量売り」がほとんどですので、なるべく顧客の希望する重量で納めてあげるのが理想です。そのためにも何も工夫せず出来なりではなく、できる限り希望の重量に寄せられるように、今回紹介した計算式を使用してなるべく顧客の要望に合わせた製品を作りたいところです。

同じ重量でも、線径の太りによって長さが変わってくるため、客先が一定の長さで切る加工を行う場合には、切れる本数が変わってくるということもあるので、その辺りは顧客と相談が必要になります。

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この記事を書いた人

伸線加工を行っている会社で品質管理を行っています。
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