伸線加工において、乾式潤滑剤の良し悪しは製品の品質や現場での作業効率が大きく変わります。
実際の現場では、「メーカーの説明は立派だけど、使ってみると違う」「結局どこを見て選べばいいのか分からない」と感じることも多いです。
伸線用乾式潤滑剤は、単にダイスと線の摩擦を減らせば良いというものではなく、皮膜の付き方や持続性、線材の状態、作業性など、現場ならではのチェックポイントが存在します。
これらはカタログには書かれにくい、実際に伸線を行う“伸線屋さん”だからこそ気づく視点でもあります。
この記事では、伸線加工の現場で実際に潤滑剤を評価している立場から、乾式潤滑剤を評価する際に見ているポイントを分かりやすく整理して解説します。
「次に使う潤滑剤をどう選ぶか」「今使っている潤滑剤は本当に合っているのか」を考えるヒントとして、参考になれば幸いです。
乾式潤滑剤の評価時に見るポイント
いくつかの項目があり、これらを評価して現在の加工条件と潤滑剤の相性が合っているかを評価します。
リゼクションの量と状態
リゼクションとは線に潤滑剤が付着してダイスに引き込まれ、加工熱によって溶けた潤滑剤が、ダイスを通らずに入口側に戻ってきて冷えて固まったものです。
このリゼクションの発生量と硬さ、大きさを評価します。
フレークの量と状態
フレークとは線に付着しダイスに引き込まれた潤滑剤が、加工熱によって溶けて線を潤滑し、ダイスを通って出てきたところで剥がれ落ちたもののことで、このフレークの発生量や形状、色などを評価します。
ガミーの量
ガミーとは線に付着して剥がれなかった、塊状でへばりついてしまった潤滑剤のことで、このガミーの付着量を評価します。
線への付着量と状態
伸線ダイスを通った後に、伸線機のブロックに巻かれている線に付着している量を判断します。測定器を使えば定量的に数値で表すことも可能ですが、多くの場合は実際に伸線している最中の線の色合いを見て現場的に付着量を判断します。
「線が白いから、しっかり潤滑剤が付着しているな」といった感じです。
消費量
潤滑剤の消費量も評価項目であり、あまりにも既存のものより減りが早い場合には、その分ランニングコストが増すので、ダイス寿命が延びたとしても潤滑剤のランニングコストがオーバーする場合があります。、
各項目の評価ポイント
ここからは先ほど挙げた評価項目をどのような視点で見ていくのか、どのような状態であればよいのかというのは、製品によって求められていることは異なりますので、一概には言えませんが一般的に言われていることとして紹介します。
リゼクション
リゼクションはダイス内に引き込まれずに、戻ってきてしまったものなので、理想としては発生しない方が良いのですが、そのようなことは無いので、どのようなリゼクションが発生しているのかを確認します。
見るポイントは砕けやすさと大きさと発生量です。砕けやすいものであれば伸線中に勝手に細かくなるため、潤滑剤の引き込みを邪魔する可能性は低いですが、大きいものだとダイスの入口をふさいでしまうようなサイズにもなるので、大きいリゼクションは注意です。量も少ないに越したことはありません。
このリゼクションが大きかったり、発生量が多い場合は、現在の加工熱に対して潤滑剤の耐熱性が低すぎる可能性が高いため、耐熱性を上げたものに変更することをおススメします。
フレーク
薄いビニールのようなフワフワした状態のものが、線にまとった状態であったり、ダイス出口から出てくるのが理想の状態です。
とろろ昆布みたいな感じです。
これが黒いと耐熱温度を過ぎて炭化してしまっている状態で、さらに酷いと黒い粉が出てくる状態となり、時には発火することがあります。
全く出てこない場合、または粉っぽい状態のままで線に付着している場合には加工条件に対して、潤滑剤の耐熱温度が高すぎて、潤滑剤が引き込まれても溶けておらず、潤滑効果を発揮できていない可能性があります。
ガミー
伸線が終わった線に付着した(こびりついた)潤滑剤なので、できればあまり付着していない方が、後工程で表面処理(メッキなど)を行う場合には、洗浄工程での影響が少なくなります。
メッキでは表面に汚れがあると、めっき剥離に繋がるため、なるべく綺麗な線を渡してあげることが、品質向上につながります。
線への付着量と状態
伸線工程としては、多くの潤滑剤を引き込んで、多くのフレークをまとった白っぽくなっている状態の方が伸線性は良くなります。ただ、多すぎるとガミーと同じく後工程での処理で不都合が起きる場合もあるので注意が必要です。
付着量に関しては、圧着ローラーを使うことで大きく改善することもあるので、そのような治具を使うのも解決方法の一つです。
消費量
潤滑剤の消費量は少なければ少ないほど、ランニングコストが減るので良いのですが、消費が少ないということは潤滑剤の付着量も少ないということになります。
よく付着してダイス寿命が長かったとしても、潤滑剤の消費量が多く、そちらでお金が掛かってしまってはいけないので、評価・判断は難しい部分となります。
しっかりと評価を行いたい場合には投入量を測って行う必要がありますが、そこまでの評価を行う場合には、現場の方の協力も必要となります。
乾式潤滑剤の評価ポイント まとめ
今回は伸線用乾式潤滑剤の評価ポイントについて、伸線屋さんの目線から紹介してみました。
私が知っている一般的な知識で紹介しましたので、各社独自の評価ポイントもあるかもしれませんが、今回紹介したポイントは各社共通で確認しているポイントだと思います。
私も同じ加工条件で複数の潤滑剤を試したことがありますが、配合が少し異なるだけでリゼクションやフレークの発生の仕方が大きく変わるのを体験しています。
新しい潤滑剤の評価を行う際には、この記事で上げたポイントを意識すると良い潤滑剤が見つかるかもしれません。
伸線加工において、乾式潤滑剤の良し悪しは製品の品質や現場での作業効率が大きく変わります。
実際の現場では、「メーカーの説明は立派だけど、使ってみると違う」「結局どこを見て選べばいいのか分からない」と感じることも多いです。
伸線用乾式潤滑剤は、単にダイスと線の摩擦を減らせば良いというものではなく、皮膜の付き方や持続性、線材の状態、作業性など、現場ならではのチェックポイントが存在します。
これらはカタログには書かれにくい、実際に伸線を行う“伸線屋さん”だからこそ気づく視点でもあります。
この記事では、伸線加工の現場で実際に潤滑剤を評価している立場から、乾式潤滑剤を評価する際に見ているポイントを分かりやすく整理して解説します。
「次に使う潤滑剤をどう選ぶか」「今使っている潤滑剤は本当に合っているのか」を考えるヒントとして、参考になれば幸いです。
乾式潤滑剤の評価時に見るポイント
いくつかの項目があり、これらを評価して現在の加工条件と潤滑剤の相性が合っているかを評価します。
リゼクションの量と状態
リゼクションとは線に潤滑剤が付着してダイスに引き込まれ、加工熱によって溶けた潤滑剤が、ダイスを通らずに入口側に戻ってきて冷えて固まったものです。
このリゼクションの発生量と硬さ、大きさを評価します。
フレークの量と状態
フレークとは線に付着しダイスに引き込まれた潤滑剤が、加工熱によって溶けて線を潤滑し、ダイスを通って出てきたところで剥がれ落ちたもののことで、このフレークの発生量や形状、色などを評価します。
ガミーの量
ガミーとは線に付着して剥がれなかった、塊状でへばりついてしまった潤滑剤のことで、このガミーの付着量を評価します。
線への付着量と状態
伸線ダイスを通った後に、伸線機のブロックに巻かれている線に付着している量を判断します。測定器を使えば定量的に数値で表すことも可能ですが、多くの場合は実際に伸線している最中の線の色合いを見て現場的に付着量を判断します。
「線が白いから、しっかり潤滑剤が付着しているな」といった感じです。
消費量
潤滑剤の消費量も評価項目であり、あまりにも既存のものより減りが早い場合には、その分ランニングコストが増すので、ダイス寿命が延びたとしても潤滑剤のランニングコストがオーバーする場合があります。、
各項目の評価ポイント
ここからは先ほど挙げた評価項目をどのような視点で見ていくのか、どのような状態であればよいのかというのは、製品によって求められていることは異なりますので、一概には言えませんが一般的に言われていることとして紹介します。
リゼクション
リゼクションはダイス内に引き込まれずに、戻ってきてしまったものなので、理想としては発生しない方が良いのですが、そのようなことは無いので、どのようなリゼクションが発生しているのかを確認します。
見るポイントは砕けやすさと大きさと発生量です。砕けやすいものであれば伸線中に勝手に細かくなるため、潤滑剤の引き込みを邪魔する可能性は低いですが、大きいものだとダイスの入口をふさいでしまうようなサイズにもなります。
発生量は少ないに越したことは無いですが、発生したからといっても上記のように砕かれやすかったり、小さいものであればそれほど問題にはならないので、神経質にならなくても大丈夫です。
このリゼクションが大きかったり、発生量が多い場合は、現在の加工熱に対して潤滑剤の耐熱性が低すぎる可能性が高いため、耐熱性を上げたものに変更することをおすすめします。
フレーク
薄いビニールのようなフワフワした状態のものが、線にまとった状態であったり、ダイス出口から出てくるのが理想の状態です。
とろろ昆布みたいな、白くふわふわしている感じです。
これが黒いと耐熱温度を過ぎて炭化してしまっている状態で、さらに酷いと黒い粉が出てくる状態となり、時には発火することがあります。
全く出てこない場合、または粉っぽい状態のままで線に付着している場合には加工条件に対して、潤滑剤の耐熱温度が高すぎて、潤滑剤が引き込まれても溶けておらず、潤滑効果を発揮できていない可能性があります。
ガミー
伸線が終わった線に付着した(こびりついた)潤滑剤なので、できればあまり付着していない方が、後工程で表面処理(メッキなど)を行う場合には、洗浄工程での影響が少なくなります。
メッキでは表面に汚れがあると、めっき剥離に繋がるため、なるべく綺麗な線を渡してあげることが、品質向上につながります。
線への付着量と状態
伸線工程としては、多くの潤滑剤を引き込んで、多くのフレークをまとった白っぽくなっている状態の方が伸線性は良くなります。ただ、多すぎるとガミーと同じく後工程での処理で不都合が起きる場合もあるので注意が必要です。
付着量に関しては、圧着ローラーを使うことで大きく改善することもあるので、そのような治具を使うのも解決方法の一つです。
消費量
潤滑剤の消費量は少なければ少ないほど、ランニングコストが減るので良いのですが、消費が少ないということは潤滑剤の付着量も少ないということになります。
よく付着してダイス寿命が長かったとしても、潤滑剤の消費量が多く、そちらでお金が掛かってしまってはいけないので、評価・判断は難しい部分となります。
しっかりと評価を行いたい場合には投入量を測って行う必要がありますが、そこまでの評価を行う場合には、現場の方の協力も必要となります。
乾式潤滑剤の評価ポイント まとめ
今回は伸線用乾式潤滑剤の評価ポイントについて、伸線屋さんの目線から紹介してみました。
私が知っている一般的な知識で紹介しましたので、各社独自の評価ポイントもあるかもしれませんが、今回紹介したポイントは各社共通で確認しているポイントだと思います。
私も同じ加工条件で複数の潤滑剤を試したことがありますが、配合が少し異なるだけでリゼクションやフレークの発生の仕方が大きく変わるのを体験しています。
新しい潤滑剤の評価を行う際には、この記事で上げたポイントを意識すると良い潤滑剤が見つかるかもしれません。



