撚線(より線)とは?伸線加工との関係をわかりやすく解説

撚線と伸線加工の関係性について解説する記事のアイキャッチ画像

撚線(よりせん)という言葉を聞いたことはありますか?

身近な例で言うと、電線の中に入っている銅線や、公園の遊具・工事現場で使われているワイヤーロープなど、細い金属線を何本も束ねて、ねじり合わせたもの、それが撚線です。

“複数の細い線が撚り合わされたワイヤーロープの画像を挿入”

実はこの撚線、素材となる細い金属線を作る工程には伸線加工が深く関わっています。

この記事では、撚線とはどのようなものなのか、そして伸線加工とどのような関係があるのかを紹介します。

目次

撚線とは?

撚線とは、複数本の細い線材をらせん状にねじり合わせて、1本のより太い線としてまとめたもののことです。

編まれたワイヤーの写真

「撚る(よる)」というのは、糸や紐をねじって束ねることを指す言葉で、私たちが普段目にする毛糸のロープや、髪の毛を三つ編みにする様子をイメージしていただくと、わかりやすいかもしれません。

細い麺を何本もねじり合わせて、太い縄状にするようなイメージです。

1本の太い線を最初から作るのではなく、あえて細い線を複数本用意して撚り合わせることで、単線(1本の線)にはない特徴を持たせることができます。

撚線が使われている身近な製品

撚線が使われている製品の例
  • 電線・ケーブルの中の銅線
  • エレベーターや吊り橋のワイヤーロープ
  • 釣り糸(ワイヤーリーダー)
  • 楽器の弦(スチール弦など)

普段何気なく目にしているものの中にも、実は撚線が使われていることが多くあります。

なぜ撚り合わせるのか?

それでは、なぜ1本の太い線ではなく、わざわざ細い線を複数本撚り合わせて使うのでしょうか。理由として代表的なものを2つ紹介します。

柔軟性が高くなる

同じ太さで比較した場合、1本の太い線よりも、細い線を複数本撚り合わせた撚線の方が柔軟性(曲げやすさ)が高くなります。

1本の線は太くなるほど曲げにくくなりますが、撚線であれば内部の細い線がそれぞれ独立して動くことができるため、繰り返し曲げても折れにくく、取り扱いやすい線となります。

断線に強くなる

1本の線で使用していると、その線にキズや欠陥があった場合、そこから一気に破断してしまう恐れがあります。

しかし撚線の場合には、仮に内部の1本にキズが入って弱くなっていたとしても、他の線がその分の力を分担して支えるため、1本の線よりも安全性が高くなるという特徴があります。

吊り橋のワイヤーなど、安全性が求められる用途で撚線が使われるのはこのためです。

撚線の素材はどうやって作られる?

ここまで撚線について紹介してきましたが、この撚線の素材となる細い線材は、どのように作られているのでしょうか。

この細い線材を作る工程こそが、当ブログのテーマである伸線加工です。

伸線加工とは、製鉄会社から届いたロッド材を伸線ダイスと呼ばれる金型に通すことで、線をだんだんと細く長く加工していく方法です。

撚線に使われる線材は、用途によりますが細いものが多いため、太いロッド材の状態から目的の線径まで、複数回の伸線加工を経て初めて撚線の材料として使える状態になります。

撚線になぜ伸線加工した線が使われるのか

撚線の素材には、なぜ伸線加工で作られた線が選ばれるのでしょうか。ここでは代表的な理由を2つ紹介します。

加工硬化による強度アップ

伸線加工を行った線材は、加工が進むにつれて加工硬化という現象によって、素材そのものの強度が向上します。

撚線では細い線を束ねて強度を確保していますが、その1本1本の線自体も伸線加工によって強度が上がっているため、より高い強度を持った撚線を作ることが可能になっています。

強度が必要な吊り橋のロープなどにも伸線加工で作った線材が使用されています。

安定した線径精度

撚線をきれいに仕上げるためには、撚り合わせる線1本1本の線径が均一であることも大切な条件です。

線径にばらつきがあると、撚り合わせたときの仕上がりが歪になったり、強度が不均一になったりする恐れがあります。伸線加工は伸線ダイスの穴径によって線径が決まる加工方法のため、精度の高い線材を安定して作ることができます。

撚線加工での線クセの重要性

伸線加工で作られた線材には、線クセと呼ばれる、輪径やひねりの癖が付いています。

撚線加工を行う工程では、この線クセが適切でないと、撚り合わせる際に線が絡まったり、うまく供給できなかったりするトラブルにつながることがあります。

伸線加工の段階で線クセをしっかり整えておくことが、後工程である撚線加工をスムーズに行うためにも大切なポイントです。

そのため撚線用の線材を伸線する際には、線径や強度だけでなく、線クセにも気を配って生産する必要があります。

撚線が活躍する分野

撚線は、伸線加工のメリットである、細くても強度の高い線材を作れるという特徴を活かして、以下のような分野で幅広く活躍しています。

  • 建築・土木分野(吊り橋・PC鋼より線など)
  • 電気・通信分野(電線・ケーブルの導体)
  • 輸送・産業機械分野(エレベーターワイヤー・クレーンワイヤー)

それぞれの分野で求められる強度や柔軟性、耐久性に合わせて、撚り合わせる線の本数や太さ、撚り方が細かく設計されています。

撚線と伸線加工の関係 まとめ

ワイヤーが使われている電線の写真
撚線が使われている電線

今回は撚線とは何なのか、そして撚線と伸線加工の関係について紹介しました。

撚線は、細い線を複数本撚り合わせることで、柔軟性や安全性を高めた線材ですが、その素材となる細い線材は伸線加工によって作られています。

普段何気なく目にしている電線やワイヤーロープも、伸線加工と撚線加工という2つの工程を経て、私たちの生活を支える製品として仕上がっているのです。

この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

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この記事を書いた人

伸線加工を行っている会社で品質管理を行っています。
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